著作権の間接侵害2(1)裁判例からみた間接侵害の類型

 先日、著作権の間接侵害を取り扱った、「まねきTV事件」および「ロクラクU事件」の最高裁判決が続けて示され、注目を浴びています。私も以前、「著作権の間接侵害」というテーマで、この問題をとりあげさせていただきましたが、まねきTV事件とロクラクU事件の判断を最高裁判所が示したことにより、この問題は一応の決着がついたようにも思いますので、改めて、ここで、整理してみようと思います。

 

1 著作権の間接侵害とは

 今回、再度とりあげる、著作権の間接侵害とは、「著作物を物理的直接的に利用するわけではないが、物理的直接的な利用をする者に対し、物又は役務を提供することによって著作権侵害の主体と判断される場合」と定義付けることができるのではないかと思います。例えば、インターネットを利用した録画予約サービスで、各自の端末から録画指示を出す、個々のユーザは、著作物を物理的直接的に利用する者ではないかと思いますが、録画予約のためのサーバ等の機器を用意して、個々のユーザが利用可能な状態にした企業は、著作物を物理的直接的に利用しているわけではありません。

このような場合に、個々のユーザが、自分で鑑賞するために録画しているだけであると評価できるのであれば、私的使用のための複製であるとして著作権法第30条により、適法であると評価される余地があるのです。しかし、個々のユーザではなく、録画予約のためのサーバ等の機器を用意してこれをユーザに提供した企業が複製の主体であると評価されると、著作権法第30条が適用される余地はなく、このようなサービスを提供している企業が著作権侵害に基づく差止めや損害賠償請求を著作権者から受けることになるわけです。

 そして、番組等の著作物を物理的直接的に利用(複製、公衆送信等)する者ではなく、利用(複製、公衆送信等)のための機器を用意しているに過ぎない企業を著作権侵害の主体と構成することを可能とする理論として、最高裁判所昭和63年3月15日判決(クラブキャッツアイ事件)におけるカラオケ法理等が主張され、現実の裁判でも、この法理のもと、複数の企業が著作権侵害の主体と判断されているわけです(この点についての詳細は、「著作権の間接侵害」の記事をご覧ください)。  

またゲームソフトの改変ツールを提供した事案においては「ときめきメモリアル事件」、投稿された著作物の配信サービスにおいては「TVブレイク事件」等の判決も示されていますので、この機会に著作権の間接侵害の問題であると評価されている各種の判決を、大きく3つの類型に分類し、各類型でどのような判断がされているのかを分析してみようと思います。

 

2 著作権の間接侵害の問題として取り上げられる事件の類型

もっとも、私は、著作権の間接侵害といっても、いくつかの類型があるように思います。まねきTV事件やロクラクU事件のような番組録画サービスに関するものもあれば、ときめきメモリアル事件のように著作物の改変ツールの提供が問題となった事件もあります。更に、TVブレイク事件のように、TVブレイク事件やファイルローグ事件のように、ユーザが投稿等した著作物を別のユーザが利用可能となるようなサービスを提供している場合もあります。

これらの過去の裁判例を分類してみると、概ね以下の表のようになるのではないかと思います。

 

表 過去の裁判例に基づく著作権間接侵害の類型 

 類型

過去の裁判例等 

 侵害ツール提供型

@ときめきメモリアル事件

最判平成13年2月13日)

ADEAD OR ALIVE2事件

(東京地判平成14年8月30日)

 放送番組の録画・転送

@録画ネット事件

(知財高判平成17年11月15日)

AまねきTV事件

(最判平成23年1月18日)

BロクラクU事件

(最判平成23年1月23日) 

C選撮見録事件

(大阪高判平成19年6月14日)

 著作物投稿型

@TVブレイク事件

(知財高判平成21年11月15日)

Aファイルローグ事件

(東京高判平成17年3月31日)  

※ファイルローグ事件は、著作物がサーバに投稿

されるわけではないが、同じようにえることが

できるのではないかと思われる。

 

ここで、各類型ごとに、裁判所が、どのような判断基準で、著作権の間接侵害の事案を処理しているのかという点を、再度、整理してみようと思います。

 

3 まとめ

 今回は、著作権の間接侵害の問題に関する前提知識について、整理してみました。次回からは、各類型ごとに、裁判所がどのような判断をしているのかという点を、最近の判例の内容を確認しながら、紹介しようと思います。

                                    以上

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